東京の下町の懐かしい家並みの残る街になじむように作られた3階建ての建物。路地沿いのわずかな空間に30種類を超える木々と宿根草が植えられています。まわりの家々の軒先にたくさんの鉢物が置かれているのも昔からの下町の風情。そんな風情を大切にしながら、地植えで四季の変化が楽しめる路地のストリートガーデンができあがりました。
街に暮色が漂う頃。照明が灯ります。暖かみのある光とシンボルツリーのアオダモが見せるどこか懐かしい光景は、夜の街に新しい魅力を添えているようです。
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東京下町のK様邸に伺うのはちょうど1年ぶりです。6月16日(土)は梅雨らしい雨天でしたが、建築の1年点検と合わせて、植栽の1年点検に訪れました。
この日咲いていたのは、ヒメシャラとヤマアジサイ、カシワバアジサイでしたが、ブルーベリーやオトコヨウゾメなどは青い実をつけていました。
植栽は1年のうちに根付いて、それぞれ季節ごとに花や実をつけ、楽しんでいただいたとのことでしたが、ご近所の方々も次々に咲く花の姿や、花の香りを楽しみにしていてよく声を掛けてくださるそうです。
K様邸が下町の街並みになじむように建築されて、1年の間に風景にも溶け込んでいますが、他方では近所の住宅が解体されていて、マンション建築の看板が立っているのも見かけました。下町らしい街並みを活かしながら新しく家を建てる動きと、下町らしさを解体していく流れとが今この街の中で交差しているようです。
アジアンテイストの壁泉を中心とした玄関前のフロントガーデン。細い落水が心地よい水音を響かせています。コンクリートの擁壁に抗火石を貼り、ポケットにシダを植え込んでいます。水鉢は台付きの浅い鉢で、水の落口と水を受ける鉢の高さのバランスに配慮しました。
イギリスの邸宅を思わせる広い敷地に立つ、伝統的なスタイルの建物。
玄関前は、車廻しとアプローチを幾何学的なデザインと空間構成でまとめています。石材やレンガ、インターロッキングで描いた地模様とカツラの2列の並木が端正なフォーマルガーデンの印象を強調しています。