街歩き 庭めぐり

<はじめに>

街歩きは、今や年齢に関わりなく、多くの人の楽しみとなっています。人それぞれの興味や趣味の違いによって、街の選び方、ルートの選定も多様多彩になるものです。

このブログでは、ガーデンデザイナーとしての私が、街歩きの中で見つけた、面白いもの、きれいなもの、不思議なもの、すごいもの等々をご紹介するとともに、東京に残る、江戸や明治・大正・昭和といった近代に造られた庭をめぐり、その魅力や歴史や見所を少しずつご紹介していきたいと思っています。

 

<神田川沿いの街 早稲田の街と庭園>

神田川沿いの街歩き

甘泉公園 江戸の大名庭園にさかのぼる歴史を持つ庭園

大隈庭園 明治期の特色を残す庭園

 

<神田川沿いの街 目白台の街と庭園>

神田川沿いの街歩き

新江戸川公園

芭蕉庵

<神田川沿いの街 関口台の街と庭園>

関口台町 

椿山荘庭園

<白金台の街と庭園>

池田山

池田山公園

白金台の裏道・小道

八芳園庭園

桑原坂界隈

シェラトン都ホテル東京の庭園

<消えた渋谷川と街と庭園>

新宿内藤町

新宿御苑

<お客様の街で見つけた風景>

2019年

5月

21日

<消えた渋谷川と街と庭園ー20>

新宿御苑 ⑤

 

□玉藻池(4)

 玉藻池の中島から南岸に渡ると、苑内を大きく周回する広めの園路に合流します。池とは樹林によって隔てられ、園路を東にたどる間も、アオキなどの茂みの間から時おり水面がのぞく以外は、池への視界が閉ざされています。 

園路はやがてもう一つの園路と合流しますが、そこには玉藻池から流れ出る水路があり、形ばかりの低い橋の縁石が、欄干のように設けられています。

 

 欄干のそばに立って池を眺めますと、とても庭園とは思われない鬱蒼とした樹林に囲まれて、天然の沼のような水景が奥に続いています。

 排水路は、園路の下をくぐるとすぐに暗渠に流れ込んでいて、その先はうかがえませんが、その位置から考えれば昔の池尻橋へ流れ出て、渋谷川に合流する流れと思われます。現在は流れもほとんどなく、底の土が湿っている程度ですので、雨が降った時ぐらいにしか流れ出すことはないのかもしれません。

 

 しかし、暗渠の前には、水を堰止める堰板をはめ込む石杭が残っていますので、かつては下流にあった池尻水車を稼働させるために、水位や水量の調整をここで行っていたのではないかと思われます。

続きを読む

2019年

5月

05日

<消えた渋谷川と街と庭園ー19>

 

新宿御苑 ④

 

□玉藻池 (3)

 芝庭から橋を渡り、中島の州浜に立ってみますと、州浜は黒ボク石で水際を縁取り、小粒のゴロタ石を洗い出して、その中に根府川石の飛石が打たれています。しかし、この庭の数少ない見せ場としての州浜の作り様や石材は、大名庭園から皇室の宮廷庭園へと受け継がれたという由緒から考えますと、思いのほか質素で控えめな印象を受けます。

 

 そうした印象は、その先に据えられている円形の雪見灯篭にも共通しているようです。この池の広さから見ても、庭としての由緒から考えても、存在を誇示するというより、むしろ控えめな大きさで、また全体に丸みを帯びているために、柔らかくおとなしやかな感じがします。

 

 それもこの庭全体の、造形的な造りをあまり見せずに、自然の中に静まっているような印象を、そのまま表わしているかのように思えるのです。

 その州浜から西岸を振り返りますと、先ほど庭を眺めていた休憩所が、芝生の先に見えています。コンクリート造とはいえ、屋根は入母屋の瓦葺ですので、和風の庭に違和感なくおさまっていて、それ以上に左手の松や右手の板橋を配した構図は、なかなか絵になる景色と思われました。

 

 休憩所からの見え方としては、池との関係では休憩所の位置が偏りすぎているように思われましたが、逆に州浜からの眺めではやはりもう少し池に近いところがいいとは思いますが、それでもそれほど悪い位置でもないように見えるのですから、庭園内の施設相互の”見る・見られる”という関係と、それを配慮した配置というのは、なかなか難しいものだと今更ながら感じました。

続きを読む

2019年

4月

22日

<消えた渋谷川と街と庭園ー18>

新宿御苑 ③

 

□ 玉藻池 (2)

 玉藻池に近寄ってみますと、それほど広がりのある水面ではありませんが、中島のあたりから三方へ水面を引き延ばしたような形に入り組んでいて、中島の存在と相まって一目で全体を見渡せないようになっています。そのため池には奥行きが出て、実際の水面以上の広さを感じるようです。

 池の周囲は、手前の西岸は明るく開けた芝庭になっていますが、それ以外の北岸、東岸、南岸ともに池の水際近くまで常緑樹の濃密な樹林が迫り、庭園的というよりも、自然の樹林のような、あるいは庭園が自然に帰りつつあるような閉ざされた緑の壁を作っていて、西岸とは対照的な姿を見せています。

 

 このような空間の造り方を見ますと、玉藻池は本来西岸から眺めるように造られていたのではないかと思われるのです。

 

 そうした中で、中島は州浜を設け、雪見灯篭を据え、さらに風趣を添えるようにクロマツが植栽されるなど伝統的な形をとっていて、定型的ではありますが庭内では最も庭園的な造りを見せる、この庭の景観ポイントになっています。

  中島には、芝庭の園路に続く広くゆったりとした板橋がかけられていて、見る人を島に誘っているようです。そして中島からはさらに橋を渡り、南岸や東岸の樹林の中を通って、池を巡る回遊路が設けられているように思われます。また、西岸からはもう一本の橋が、こちらは狭い入り江のような水面を渡って、北岸の園路につながるようにかけられています。現在では橋の傷みが激しいために通行が禁止されていますが、おそらく池周りを回遊する園路が、この橋につながっているのではないかと思われます。

続きを読む

営業時間

平日10:00~18:00 

定休日

土・日曜日、祝祭日

お問い合わせ

〒350-0056

埼玉県川越市松江町1-16-1

藤和川越コープ901

TEL: 049-227-3234

FAX: 049-227-3235

お問い合わせはこちらから