長野県松本市 主催:トコナメエプコス
松本市講演会について
信州松本は懐かしい街です。若い時に松本の街にはたびたび訪れていたのですが、その後機会がないまま時が過ぎて、数えてみれば今回の松本行きは30数年ぶりということになります。それだけに、新宿駅を発車する「特急あずさ」の座席に座ると、懐かしさがわいてきました。
この日の講演会は、トコナメエプコス長野店の主催で、県内のトコナメさんのお客様(エクステリア・ガーデン・造園関係)と各メーカーさんの方、そして社員の方で、50人を超える参加者に「和モダンを学ぶ」というテーマでお話をさせていただきました。
講演は、「和モダン」というコトバの意味と、よく似かよう「モダン和風」という近代の和風を意味するコトバの違い、そして「和モダン」を考えるうえで、近代の「和」と「モダン」のさまざまな表現を知ることが重要なのではないか、という内容です。
そうしたさまざまな表現を、「和」と「モダン」の系譜という観点から、次のようなキーワードでまとめてみました。
・ 自然主義的表現
・ 宗教的象徴性から写実性へ
・ 建築の近代と庭園の関係
・ 庭園の芸術性
・ 明朗、軽快、簡潔
・ 和洋折衷
こうしたキーワードに対応する話と映像とで、近代の「モダン和風」について理解いただくことと、これから「和モダン」はどのような可能性があるのだろうか、ということと大きく分ければその2つということになるのでしょう。ただし「和モダン」は、現在進行形であり、一人ひとりのデザイナーによっても可能性は広がるであろうと考えられることから、デザインはあくまで参考にとどめ考え方を提示させていただきました。
質疑応答では、参加者から善光寺の庭の設計について質問があった他に、私が強調したせいか1920年代とはどんな時代であったのか、という質問をいただきました。私自身は、1920年代こそが現代のガーデン・エクステリアを含む住宅の庭の原点と考えていることを話しましたところ、松本地方には近代の和風庭園が今でも残っているということ、それが急速に失われつつある、ということを教えていただきました。
近代の住宅庭園については、ようやく見直され評価もされるようになってきましたが、まだまだ情報は少なく、私も東京の近代庭園について、少しずつ調べてはいるのですが、松本地方についてはまったく知らなかったのです。地元で近代庭園の調査をしているというお話は、私も興味があり、いずれかの時にそうした調査された庭の様子も教えていただきたいと思っています。