<神田川沿いの街 早稲田の街と庭園-3>

江戸の大名庭園にさかのぼる歴史をもつ庭園

甘泉園公園②

□甘泉園庭園の見どころ

甘泉園公園平面図(クリックすると拡大されます) 出典/「新宿と庭園」新宿区教育委員会
甘泉園公園平面図(クリックすると拡大されます) 出典/「新宿と庭園」新宿区教育委員会

・池を見せる演出の妙とは

 

 池の形状は、平面的にはひょうたん形で、上段の池の方が広い水面をもっています。池には中島が設けられていて、西と東に石橋がかかり、中島に渡れるようになっています。中島は、池の大きさからすればやや大きすぎる気もしますが、中島から水面を隔てて庭内の景色を見渡せるのは、回遊する視線に変化をもたらす要素であったでしょう。

 この上段の池と、もう1つの小さな下段の池とは水面の高さが1m程違い、2つの池の接する部分は上段の池からあふれた水が、小滝状に落ちる落水の景となっていて、この庭の見どころといえるでしょう。

 庭をめぐる園路も、この部分では石段で下の池の水面近くまで下りて、落水の前を沢飛石で渡る形をとっていて、この部分を見せるための工夫をこらしているのがわかります。

 確かに沢飛石に立って見る上段の池は、中島の手毬灯篭や石橋も、水面をなめるような低い視線から眺めることになって他に類をみない景観といえるかもしれません。

甘泉園の滝(遠景)
甘泉園の滝(遠景)

・滝の見どころ

 

 和風庭園において滝は、きわめて重要な庭園施設であり、景観上もその造形が大きな影響を持つことが知られています。庭園を観賞する人にとっては見どころですし、作者にとっては見せどころでもあるわけです。

 そのため、古来より滝の造り方、具体的には水の落とし方には幾つもの手法があり、それは現代にも伝えられています。平安時代の作庭書といわれる『作庭記』では、向い落ち、片落ち、伝い落ち、離れ落ち、稜(そば)落ち、布落ち、糸落ち、重ね落ち、左右落ち、横落ち、などが記されています。

(近景)
(近景)

 また滝は石組みによって造形された姿、形も重要な要素で、その美しさや力強さ、安定感などが観賞の対象になります。つまり、滝は落水の姿と、その落水を見せるための石組の姿との両方によって評価されるわけです。甘泉園の滝は、台地の中腹から湧き出る湧水を水源としていると言われています。現在も水が湧いているかどうかはわかりませんが、昔は現在よりも水量が豊かであったといわれています。そのため、現在の落水の様子とは違っているかもしれません。

 現在は、落水の巾は広くなく1筋の水です。そして奥で大きく落ちた後、手前に小さく落ちる2段落ちとなっています。石組みはさほど大きな石を使わず、派手な石や形も見せないおとなしい造りで、自然な感じといえるでしょう。

営業時間

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定休日

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