<神田川沿いの街 早稲田の街と庭園-10>

神田川沿いの街歩き④

□ 街と植物② 駐車場のご神木

 街中の貸駐車場なんて、1本の樹木でさえ植わっていないのが常識ですよね。でも、早稲田の街では、その常識はずれの光景が見られるのです。

 

 街路から塀越しに見慣れた駐車場のマーク、そして脇にはこんもりと茂った立派な木が見えます。しかしよくよく見ると、太い空洞になった木の幹が並んでいて、丸太の支柱で支えているのがわかります。そこで塀を廻りこんで駐車場に入ってみると、百年以上とおもわれる樹齢のシイの古木の幹がほとんど空洞になったところに、四手(シデ)をつけて祭っているようです。丸太の支柱は、この幹が倒れないように支えていたのです。

 なんという光景でしょう。私は感動しました。早稲田の街には、なんというやさしい人が住んでいるのか、と思いました。貸駐車場の経営なんて、効率いっぽん槍で、木の一本すら場所をとって困るといい、葉が落ち、掃除がめんどうと嫌がって、それよりは一台でも多く駐車させようと思うのが当然のことだと思っていたのです。

 ここにあるのは、老いて朽ち果て、空洞となった幹の古木を守り、そして脇から伸びた元気な幹を育てている姿です。この土地で百年、あるいはそれ以上の歳月を生きてきた老木を、大切に守っている人がいるという事実です。かつては、この駐車場の処に家があり、住んでいたのでしょう。庭にあった古木を朝夕眺め、少しずつ衰えていく様子を見守っていたのかもしれません。駐車場にせざるをえなくなった時、他にも木はあったでしょうが、この古木だけは伐らずに残したのでしょう。

 何やら、頭の中で物語を勝手につくってしまいましたが、そんなことを想わせる光景なのです。人の暮らしと、街の在りようが、時代の荒波に晒されて変化していくのは仕方のないことといえるのかもしれませんが、殺風景に傾いていく街の佇まいの中で、こうした光景が今も残っている街には、東京の昔ながらの普通の感覚が失われずにあるように思います。それが、東京の街を歩く私たちにとって懐かしさややすらぎを感じさせてくれるのでしょう。

 

 

 

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