駒塚橋の北詰、橋のほぼ正面に、大きな黄葉の塊がひときわ目立っています。緑の樹林を背景に立つイチョウは、かなりの大木で、水神社はその下にちんまりと鎮座しています。「江戸名所図会」にも描かれている名所にもかかわらず、境内は整備されているとは言い難く、神田上水の守護神も、上水が廃止されてはその役割も終わったということなのでしょうか。
斜面の中腹にある社殿へは、急な石段を昇ります。その石段の昇りきったところの左右に、先ほど見えていた大きなイチョウが植えられていました。参道を挟んで左右に植栽する手法は、神社などでよく見かけますが、ここ水神社では狭い参道のためか、2本の根元は癒着して一体となっています。枝葉も互いに絡み合っていて、まるで2本のイチョウのつくる輪をくぐって参拝するかのような形になっていて、まれに見る霊的なゲート性を現しているようです。
社殿は小さなコンクリート製でいささか拍子抜けしますが、水神さんを参拝して散歩を続けることにします。