<神田川沿いの街 関口台の街と庭園-2>

関口台町②

□ レンガと石に歴史をみる

 関口台町の名前にふさわしい、台地と坂の風景を探して裏通りに入ると、戦前からの住宅地とおぼしい佇まいの住宅や門構え、外構などが残る一角がありました。佐藤春夫旧居跡から、音羽通りに向かって細い道をたどる道筋で、古いレンガ積みの土留が目にとまりました。

 写真にみるように、レンガ積みの土留はその上にコンクリートブロックを積み、現代風にフェンスが立っていますが、レンガ積みそのものは戦前のもののように思われます。目地に詰められたモルタルも、あちこち抜け落ちてシダが生育している状態で、土留としての強度の問題はさて措いて、街歩きの人間の眼を楽しませてくれる歴史と風情があります。

 レンガの積み方は、レンガの長辺を見せる列と、短辺を見せる列を交互に積むイギリス積みですが、途中の一列を少し張り出したり、短辺の面を二列続けたりとアクセントをつけているところは、土留としての機能だけではなく、見た目にも配慮していることがうかがえます。街を歩いていると、戦前のレンガ塀は時々見かけますが、低いとはいえより強度を要求される土留は、あまり見かけることはありません。それでも長い年月を耐えてこうして残されているのを見ると、この街の歴史を感じることができるのです。

 緩やかな坂をそのまま下ると、道はコンクリートの階段に変わります。ここからはかなりの急坂と言っていいでしょう。この階段に沿った住宅の石垣は、裏道とは思えないほど立派なもので、最も高いところでは5mくらいはありそうです。

 石垣の石材は、神奈川県の真鶴から湯河原周辺で採掘される新小松石の間智石(けんちいし)ですが、積み方は現代に多く見られる石をV字形に積む谷積みではなく、目地が水平になる布積み(整層積み)とし、隅角石は算木(さんぎ)積みと本格の石垣です。算木積みとは、石垣の角のところに、中間部で使っている方形の石ではなく、長方形の石の長辺の面と短辺の面を交互に積む技法で、城の石垣では必ず使われていますので、目にした方も多いと思います。

 このような石垣は、千代田区や新宿区、港区等の旧大名屋敷や旗本屋敷、組屋敷等のあった町の、坂道などによくみられますが、必ずしもすべてが江戸時代の石垣というわけではなく、明治以降の道路の拡幅、宅地の区画替え等の際にも築かれたようです。しかし、新小松石は江戸時代から石垣に使われた石材で、江戸・東京山の手の落ち着いた屋敷町の風格と風情を醸し出しているひとつの要素でもあるのです。

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