<神田川沿いの街 関口台の街と庭園-7>

椿山荘庭園③

 テラスガーデンからは、チャペルの脇の階段を下りるルートもありますが、多くの人はほたる沢に沿って下るスロープを歩いています。スロープからは、谷底を流れるせせらぎが見下ろせ、水音も聞こえるものの水量はさほど多くはありません。園路の両側には、モミジやサクラが大きく枝を広げ、頭上に枝をさし交わしていて、季節には、紅葉や桜の花の下を歩くことのできる気持ちの良い園路となっています。

 

 このスロープは、またプラザ棟からもホテル棟からも、車椅子で庭園に出て回遊できるユニバーサルなルートにもなっていて、高低差の激しい椿山荘の庭園を誰でもが楽しめるように配慮されているようです。

 

 園路の途中には、ほたる沢を渡る朱塗りの橋や、さまざまな姿態と表情を見せる羅漢さん、椿山荘ができる前からあったといわれる庚申塔などがあり、それらを眺めながら下ってくると、幽翠池のほとりに出てきます。

 幽翠池の周辺は、数年前に来た時と感じが変わっているように思われます。西側の丘の樹木が鬱蒼と茂っていたのが、かなり整理され、剪定されたようで、ずいぶん明るくなったような気がします。また、池の護岸も以前は松丸太の乱杭でしたが、今は金網の中に割栗石を詰めた現代風蛇籠に変わり、幽邃な感じがなくなった代わりに、明るくモダンな印象に変っています。

 

 ここからは、幽翠池の先に大きな滝を眺めると同時に、プラザ棟や、テラスガーデンの下のチャペルの塔などの建物の姿も視界に入る位置でもあります。そのため和風の庭園と洋風の建物との調和が難しいところですが、その点に関する限りでは改修された今の庭園の方が、調和とまではいかないにしても、建物とはなじみやすいように思われます。

 足は自然に幽翠池のほとりを歩いて、滝の近くへとむかっていきます。それだけ滝の存在感があるのですが、下から見上げると、その大きさは圧倒的で、地形の持つ高低差を充分に生かしてつくられていることがわかります。その堂々とした落水の姿は、傍らに立つプラザ棟の存在に負けないボリュ‐ム感があります。

 

 ところで、この滝には正面から眺めているだけでは、わからないことがあるのです。その一つは、滝の水は大きく二段に落ちているように見えますが、実は上の段の更に上にもう一段建物に向かって落ちている滝があって、つまり正確には三段の滝になっていることです(この滝は、施設内から見るようになっているようです)。もう一つは、滝の裏側に通路があって、裏から落水を見る「裏見の滝」としてもつくられていることです。(こちらは庭園見学者も見られます)

 このように一つの滝を、高さや角度を変えて、更に表と裏というように、とことん見せ場を作り、楽しませる手法は、さすがに商業空間における作庭法ということができますが、一つの目的のために対応したデザインを行う、1対1のデザインではなく、一つのデザインが二つも三つもの目的のために活かすことのできる1対2や、1対3のデザインということは、デザイナーにとっては必要とされる手法の一つといえるのですから、良い勉強になるところです。

営業時間

平日10:00~18:00 

定休日

土・日曜日、祝祭日

お問い合わせ

〒350-0056

埼玉県川越市松江町1-16-1

藤和川越コープ901

TEL: 049-227-3234

FAX: 049-227-3235

お問い合わせはこちらから