<白金台の街と庭園-6>

池田山公園③

□ 白日夢の中の月見台

 池田山公園の庭園の全景を眺める場所としては、四阿のある台地上から眼下に池を見る位置ということになります。東に向かって足元からなだれ落ちるような斜面を手前に、正面に庭園の背景をなしている西向きの斜面に茂る樹林に対する位置です、右手には急傾斜上に隣接する建物を隠すように背の高い木々を見て(落葉期には建物が見えてしまいますが)左手はアプローチ道路との間に植栽された樹木というように、池を中心に四方の斜面を一望することができる場所となっています。

 

 高低差は、およそ十数メートルはあろうかというすりばちの底に光る水面は、「のぞき池方式」といわれているようですが、やはりこの場所からのぞくというのが最もふさわしいようです。

 

 ただその場合、庭の斜面の縁に立った状態で、池をのぞくか、あるいは建物からのぞくように造られていたのか、興味を覚えます。

 

 仮に建物が、台地の縁に建っていたとしても、座敷の中からは池をのぞきこむことはできなかったでしょう。私が勝手にイメージしてみますと、建物から斜面に張り出した月見台(桂離宮の月見台のイメージ)を設け、そこに座った視線で池を見下ろすことは、できるのではないか、というものです。

 

 東に向いた月見台からは、正面の木々の梢の上に月が上り、池の面に月の光が映ずる様子を思い浮かべてみると、これはなかなか美しく風情のあるシーンではないでしょうか。

 

 いささかイメージだけが先走ってしまいましたが、庭園の設計をなりわいとしている身であれば、つい自分ならばこうしたいと思ってしまうところです。

 

 さて、台上の端から東向きの斜面を下って行きます。かなり急な傾斜ですが、山道のような石段の続く両側は途中に、黒ボクの土留めの石垣が築かれ、それを覆ってサツキやツツジが一面に植えられています。サクラの後の新緑の頃は、みごとな景色が楽しめると思われますが、いかにも急で危なげな園路です。昔の人は、ここを着物に下駄や草履で上り下りしたのかと思うと、大変さもしのばれますが、女性は坂といってもゆるやかなアプローチ道路を歩いたのかもしれません。アプローチの自動車道であると同時に、園路としても使われたと考えても不思議ではなく、ある意味で神社などに見られる男坂と女坂のような利用のされ方であったのかもしれません。

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