<白金台の街と庭園-16>

池田山公園⑬

□ 住宅の庭園から公園へ

 品川区立池田山公園が開設されたのは、昭和60年(1985)です。品川区は、当時荏原青果社長邸であった土地約7000㎡を買い取り、公園としての施設を整備し、一部を改修して公開したものです。買収時の様子は、当時の担当者によれば「だいぶ荒れていたが、手入れをすれば立派な庭園になると思ったし、地域の人が池田山の歴史を知るきっかけにしたかった」(岡山県ホームページ、首都圏の中のおかやま)ということで、荒れてはいても庭園としての空間構成や、使われている石材等の立派なことは認識されていたのでしょう。

 

 戦後は、戦前のように個人が広大な土地に邸宅を構え、庭園を造りそれを維持することは難しい時代になりました。近代に造られた多くの邸宅や庭園が、所有者の代替わりの時に課税される相続税の負担に耐え切れず、土地を手放しその結果消滅していきました。

そうした中でこの地が、品川区によって買い取られ、公園という形で庭園が残され、公開されることになったのは、品川区民はもちろん、多くの人にとっても幸いであったと言えるでしょう。

 

 品川区は、公園として必要な管理施設や利便施設、休憩施設などを設置しましたが、これらの多くはアプローチ道路沿いや台地上の建物跡に配置されているために、庭園の大部分は旧態を残して整備されたようです。

 

 その中で最も姿を変えたのは、滝の石組でしょう。改修は、新たに石材を購入して現在見るような豪快で、現代的な石組になっていますが、改修前のもともとの姿はどのような形態であったのか興味があります。

 

 また植栽についても、戦災にあっていたのであれば昔の景観を偲ばせるようなものはなかっただろうと思いますが、戦前の神戸邸時代の庭園景観ははたしてどのようなものであったのか、これも知りたいところです。

 

 いずれにしても、池田山公園については、戦前の写真や訪問記等の庭園についての資料がまったくないといっても過言ではありません。いつかそのような資料が見つかり、その姿が明らかになることを願っています。   

 

池田山公園平面図 『庭』81号平成3年9月より(クリックで拡大されます)
池田山公園平面図 『庭』81号平成3年9月より(クリックで拡大されます)

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