<白金台の街と庭園-20>

白金台の裏道・小道④

□ 芝白金団地内の道

 ケヤキ並木の小道を抜けると、左手に芝白金団地があります。昭和39年(1964)に竣工した旧住宅公団の団地ですが、敷地は緩やかな南斜面でそこに4棟の住棟が建つこじんまりした団地です。建物の高さも5階と中層で敷地内には緑も多く、小道と同じようなケヤキの大木が何本も立っていて、全体に空間のゆとりを感じさせます。

 ケヤキの木立にひかれて団地内を南北に通り抜ける道に入らせていただくと、道の脇の植え込みに幾つかの石造品が無造作に置かれているのが目に留まりました。いずれも和風庭園で使われているものですが、別に庭園的な意匠から置かれているようでもなく、ほんとに無造作にただ置かれているのです。

 

 その一つは層塔で、屋根が三重になっているために三層塔と言われます。層塔は、庭園の中に置く場合は、築山の上などの小高い場所で、なおかつやや奥まった位置が良いとされていますが、それは層塔が寺院の五重塔などと同じ意味を持っていることから、遠くの塔を遠望する感じを表すためでしょう。こんな石造品があるということは、この地にそれなりの庭園があったことを想像させます。

 

 層塔に並んで石灯籠もありました。石灯籠も多くの種類がありますが、これは利休型と言われるもののようです。釣鐘のような笠の形に特徴があり、利休という名前が付けられているように茶庭に使われる灯籠の一つですので、広い庭園の一部に茶庭があったことをうかがわせます。利休灯籠は、春日灯籠や織部灯籠などのように一般に多く使われる形ではないので、珍しい灯籠と言えるでしょう。


 茶庭があったことがほぼ確信できるのは、茶庭には欠かせない蹲踞(つくばい)の水鉢があったことです。自然石に水穴を掘ったもので自然形と言われますが、この形は最も多く使われる水鉢です。このように幾つもの石造品が置いてあるということを考えますと、団地ができる前にあった屋敷の庭園に使われていたものが、庭園の解体の時に後日利用するつもりでここに置かれ、何らかの理由でそのままになったものでしょうか。いささかもったいないという思いと共に、ちょっとこの土地の歴史に興味を覚えます。

営業時間

平日10:00~18:00 

定休日

土・日曜日、祝祭日

お問い合わせ

〒350-0056

埼玉県川越市松江町1-16-1

藤和川越コープ901

TEL: 049-227-3234

FAX: 049-227-3235

お問い合わせはこちらから