<白金台の街と庭園-24>

八芳園庭園①

□ 地形を生かした建物の配置と庭園の空間構成

 八芳園は、広い和風庭園をもつ結婚式場、レストランとして、目白の椿山荘と並び称されるところです。白金台地の尾根筋を通る目黒通りが、古川の谷へ下ろうとする日吉坂上あたりの台地上から南東に下る斜面と、谷底の低地を含む高低差のある土地で、1万2000坪の敷地に広がる庭園の中に、歴史ある和風の建物や茶室が点在しています。

 

 八芳園は、明治から昭和にかけて実業家、政治家として活躍した久原房之助氏の邸宅を、戦後その建物と庭園とを利用して商業施設にしたものですが、都心の広い土地は次々と高層マンションや高層のビルが建てられて、庭園なぞは簡単につぶされる時代の中にあって、よくぞこの庭園が残されてきたものだと思います。

 

 建物の配置は、敷地の外周を取り囲むように、台地上に正門と壺中庵(こちゅうあん)、北側の斜面には茶室霧峰庵(かほうあん)、その下には料亭白鳳館があり、斜面を下りきった南東の端のやや小高い所に茶室夢庵(むあん)と邸内社である大護(だいご)神社があります。そして建物としては最も大きい6階建ての本館は、斜面の南側にあって、庭園を囲む形になっています。

 

 敷地の中央に造られた庭園は、三段に造られていて、上段は壺中庵の前からゆるやかに下る斜面で、広々とした芝生の中にマツが点々と植えられた、のびやかな雰囲気の芝庭になっています。

 

中段の庭はやや急な斜面で、サツキやオカメザサの低い刈込の中にアカマツの大木が立ち、園路が巡っていますが、園路のどこからでも斜面の下に広がる水面を見下すことができます。ここは上段の庭と下段の庭という、雰囲気の異なる二つの庭をつないで、全体を調和させる役割を果たしているようです。

 

さらに斜面を下りきった平坦なところに造られた下段の庭は、池を巡る庭となっていて、園路の途中途中には流れがあり、茶室と神社も、そして滝も作られていて、三段の庭の中では最も変化に富んだ庭園景観となっています。

 

つまり八芳園の庭園は、台地上の芝庭と斜面の庭そして台地下の池庭という、戦前の東京山の手の大邸宅の庭園に共通する空間構成を持っていて、それがほぼそのままの形で残されている数少ない庭なのです。

八芳園webサイトより(図はスクリーンショット/クリックで拡大されます)

営業時間

平日10:00~18:00 

定休日

土・日曜日、祝祭日

お問い合わせ