<白金台の街と庭園-25>

八芳園庭園②


 八芳園の正門は、敷地に沿って台地を下る桑原坂に面していますが、道路からは奥へ引いて建てられていて、門前に植えられている木々の間にその全景を見ることができます。さすがに大邸宅の正門にふさわしい空間のゆとりといえるでしょう。


 門は入母屋桟瓦葺の長屋門の形式で、やや腰高と見える腰壁を黒い下見板張とし、上部の小壁を白い漆喰で仕上げた外観は、堂々としていながらも簡潔な印象を受けます。大名屋敷の長屋門に見るような格式張ったデザインや装飾は見られず、そのため武家の門というよりも、豪農の屋敷などに見られる長屋門のように感じられます。


 この門は、明治時代にこの土地を所有していた渋沢喜作氏の屋敷の門で、屋根はもともと茅葺であったと伝えられていますので、この地に隠棲するつもりでいた渋沢氏にとっては、東京の郊外で周辺にはまだ田畑も残っていた白金台にふさわしい形式の門と考えたのかもしれません。


 長屋門をくぐると、そこはかつて久原氏の本屋であったという壺中庵の玄関前です。広い砂利敷の中央に、マツを主木とした植込みがあり、車が回転する車廻しの形になっています。特に人目を引くような石造品や造りが見られるわけではなく、機能的で控え目な造りの前庭といえるのかもしれません。


 壺中庵は、明治時代に渋沢氏が建てた建物に、久原氏が大正5年に増築を加えたもので、木造部分には久原氏の好みで、和洋折衷の洋間がつくられています。


 現在は料亭として使用されていて、台地上に建つ建物の前には、広い芝庭とそこから向う下がりに広がる庭園が望めるということですが、前庭からはわずかに建物脇の木戸越しに、芝生の庭とマツの大木の一部がうかがえる程度です。

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