<白金台の街と庭園-27>

八芳園庭園④

□ 霞峰庵の庭

 庭園の中段を横切る園路が突き当たるあたりに、モウソウ竹の竹林が見えています。園路はその手前を右に折れ、斜面を下る石段にかかりますが、わずかに下った左手に瓦屋根の建物が現れてきます。園路沿いには細竹を打ちつけた簡素な枝折戸があり、茶室はそこからさらに下ったところに、竹林を背景にしてたたずんでいました。


 この茶室は、久原氏の玉川の別荘から移築したものと伝えられていて、久原氏の雅号である霞峰を庵号としています。霞峰庵の建物は、入母屋桟瓦葺きで、深い庇は銅板葺きです。庇が深いせいか建物は大きく見えますが、茶席は三畳台目向切の小間の席で、躙口の他に濡縁のついた貴人口が設けられています。

 茶室の外部空間は台地の斜面を一部平坦に切り開いた地形のためか、茶庭部分はきわめて狭いのですが、それとは対照的に軒内の土間は広々と整っているのが特徴的です。周囲の竹林や樹林があるために、庭が狭いことはさほど気にならないように思われます。


 このような樹林に囲まれて、庭も広くとれないという環境では、普通寂びた草庵風の茶室と考えたくなりますが、霞峰庵の外観は明るくすっきりとした軽快な造りで、近代的な数寄屋という印象になっています。


 茶庭の中には枝折戸が閉じていて入れませんが、戸の上から首を伸ばして庭内の様子をうかがうと、ちょっと面白い造りの蹲踞が見えました。枝折戸の左手側は、園路から内側に向かって崖のように下っていて石積みがしてあります。蹲踞は、その石積みに向かうように組まれていて、石積み越しに筧から水が落ちるようです。あたかも山裾で湧清水を蹲踞として利用したかのような野趣を感じる造りで、東京ではあまり例のない形といえるかもしれません。


 枝折戸越しに見ることができたのはそこまでですが、灯篭などがどうなっているのか、いつか見てみたいものです。


営業時間

平日10:00~18:00 

定休日

土・日曜日、祝祭日

お問い合わせ