<白金台の街と庭園-29>

八芳園庭園⑥

□ 沢飛石と石樋

 角亭の辺りから池を見下ろすと、対岸から手前の岸辺に向かって二筋の沢飛石の連なりが見られます。景色としても面白いものですが、池の面を渡るというのは多少の緊張感もあって、楽しさを感じさせてくれます。この沢渡は、今は通行することはできないようですが、かつては沢飛石を踏んでいくと、目の前に石垣の上に建つ角亭を見上げる景色を見ることができたのでしょう。見上げても見下ろしても、あるいは見ても見られてもそれぞれに景色となる造りがなされていることがわかります。


 しかし沢渡は、どうやら四阿を見せるためだけに設けられたわけではないように思われます。それは写真にも写っているように、右手の岸辺から池に向かって石樋が突き出しているのが見えますが、二筋の沢渡のうちの一つは対岸に向かっていますが、もう一筋は石樋の方に向かっているようです。つまり、かつてはこの石樋から水が流れ落ちていて、それを間近に見せるための、あるいは流れ落ちる水に触れさせるための沢渡であったのではないでしょうか。それは和風庭園によく見られる滝の前の流れに沢飛石を打って、滝を間近に見せる演出と同様の手法と思われます。

 この石樋から流れ落ちる水が池の水源とすると、現在の池とは少し異なる姿が考えられます。池といえども水の流れがあります。池にそそぎこむ水があ り、その水が池の中を流れて排水されるまでが池の流れになるわけですが、どこかで滞りよどむと水質が悪化してしまいます。石樋は浅い入り江の奥にあって、 そこから流れが始まるとすると、水がよどまないように考えればその真反対の現在本館の建っているあたりが池尻となり、排水口があったのではないかと思われ ます。

 

 石樋のあるあたりは台地を背負っていて湧水が出やすい地形ですし、排水は公共の下水道に落とさなければならないわけですので、どうしても南の桑原坂方向に排水させる必要があるのです。

 

 現在は本館があり、その傍らに渓流の形をした滝があって、池の水源のように見えますが、戦後本館が建てられるまではこの滝もなく、石樋の水が水源であり、その落水の景がこの池の庭の中心的な景色だったのではないでしょうか。

 

  沢飛石と石樋の存在から、ついつい勝手に昔の庭の姿をイメージしてしまいましたがそれはともかく、角亭に座って石樋から落ちる水音を楽しむことを計算して、ここに四阿を設けたことは確かなことと思われるのです。

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