<白金台の街と庭園-30>

八芳園庭園⑦

□ 瓦土塀(練塀)

 角亭から園路をさらに下ると、園路の突き当りに、土塀が鍵の手に作られているのが見えてきます。土と瓦を交互に積んだ瓦土塀といわれるものです。東京都内ではあまり見かけることの少ない土塀ですが、それでも社寺の境内や道路沿いの境界としてわずかに残されていて、歴史をしのばせる存在になっています。都内でよく知られている所では、浅草の待乳山聖天の境内や、谷中の観音寺、芝の増上寺とその子院の廣度院などに見ることができます。


 八芳園のように庭園内に造られる例はないわけではありませんが、数は少なく戦前に造られたもので現存しているものは、菅見ではありますが都内では見ることはありませんでした。


 この八芳園の土塀も、それほど古いものとは思われませんが、大きな石を使って野面に積んだ重量感のある石垣の上に、瓦で青海波模様をあらわし、白い漆喰で仕上げた装飾性の強い土塀になっています。しかし土塀の屋根は平瓦で簡単に葺いた簡素な造りで、石垣の力強さや土塀の瓦の装飾的な模様と比べると、あまりにも軽すぎる印象で、バランスが悪いように思われるのです。


 こうした印象を受けるのも、例えば待乳山聖天の境内と庭園を仕切っている土塀と比較するためかもしれません。聖天の土塀は、瓦は直線の筋状で、漆喰は剥げ落ちたためか、土のままであり、庭園の背景としては目立ち過ぎず、時代を経た落ち着きを感じさせる土塀といえるでしょう。


 ところで、この土塀の裏側の空間はどのようになっているのか気になります。見る機会がないためにここからは私の勝手な想像ですが、まず石積みをしているのは土留が必要であったからではないでしょうか。すぐ脇に建っている茶室夢庵は、池沿いの園路と比べると一段小高いところに建っています。この土塀の石垣が、夢庵の裏手にあるかもしれない茶庭との間にあって、地盤の高さを調整しているとすれば、石垣を設けた理由は理解できます。


 次にあるかもしれない茶庭側から見た時に、石垣は埋まっていてわずかにその一部が覗き、低い土塀だけが見えるとしたら、土塀の屋根の簡素な造りが茶庭の背景として、却って侘びた風情をあらわすことになっているのかもしれません。


 勝手な推測はこのあたりでやめますが、土塀の表側だけを見れば、庭園にそぐわない作意が強くあらわれ過ぎているという感じは拭うことができないのですが、どうでしょうか。


写真1 八芳園の瓦土塀
写真1 八芳園の瓦土塀
写真2 浅草待乳山聖天の瓦土塀
写真2 浅草待乳山聖天の瓦土塀

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