<白金台の街と庭園-34>

八芳園庭園⑪

□ 滝

 水亭と園路を挟んで反対側に、本館の建物に沿うように造られた滝があります。滝から流れ落ちた水は、流れとなって池にそそいでいますが、建物との関係を考えますとこのあたりの庭園部分は、もともとあったものではなく本館が建てられた時に改修されたのではないかと思われます。

 滝の水は、常緑樹の茂みの奥から流れ出し、滝の最上部に架けられた石橋の下をくぐって滝となりますが、水流は途中で二筋に分かれ、一筋は四段の小滝が連なる段落ちの滝となって流れ落ち、もう一筋は滝というよりも渓流を思わせる姿で、石やセキショウの群落の間を縫うように流れ下っています。

 

 このような滝の造り方は、石組の豪快さや高さ、そして迫力のある落水の姿を見せるような手法をとらず、段落ちや渓流状の流れという手法をとることによって、自然の渓谷に見るようなきわめて写実的な造形となっていて、みごとな出来となっています。また滝としては幅も広く、変化に富んでいるためにさまざまな角度から眺めることができ、園路からだけではなく本館からも見て楽しむことができるようになっているようです。

 

 本館は、6階建てという圧倒的な量感で、庭園景観に強いマイナスのインパクトを与える存在ですが、台地上からはともかく、園路を歩く人の視線を滝や流れに向けさせることによって、意識の中で建物の印象を薄めさせることを狙って、この部分の作庭がされていたように思われます。

 

 結果としてその意図は成功していると言えるでしょう。滝と足元を流れる流れを見ながら石橋を渡ると、視線は自然に振り返って奥行きのある池と水亭を眺められる方向に向いてしまうようです。さらに頭上は木々の枝葉が覆っているために、本館の足元に居ながらも、建物の上部は見えないようになっていることもそうした効果を高めているようです。見る人の視線と意識の働きを巧みにコントロールする、作庭者のねらいがみごとに当たった事例と言えるのかもしれません。

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