<白金台の街と庭園ー46>

桑原坂界隈 ①

 □石垣のある風景 (1)

 

 

 白金台から高輪台にかけての街は、坂が多くみられますが、ことに裏道・小道にある坂は、散歩人の好んで歩くところです。その中で八芳園の前の桑原坂は表通りで車の通行も多く、裏道・小道というわけではありませんが、歩いてみたくなる坂道のひとつなのです。

 その理由は、八芳園の正門や木々の緑、瑞聖寺の山門が、坂道の歴史を感じる雰囲気を醸し出していることもありますが、坂の途中に風格のある石垣が多くみられることも、坂の風景に風情を添えているように思われるからです。

 

 古びた石の面を見せている石垣は、土留めという役割は同じでも、無機的なコンクリートの擁壁と異なり、石のひとつひとつに微妙な色合いの違いを見せるとともに、石肌の風化や目地に生じたシダまでが歴史を感じさせてくれるようです。

 

 これらの石垣は、江戸城の石垣に使われたものと同じ安山岩で、伊豆石とも新小松石ともいわれる石材です。石の表面を42㎝から43㎝の正方形に成形した間知石といわれる石を、横に目地の通った整層積み(布積み)にして、最上段に御影石の笠木を置いています。

 

 こうした石垣の造り方は、戦後の施工というよりも、明治期から戦前の昭和期のもののように思われます。

 

 

 それは間知石の寸法が、現代の間知石積みに使われる30㎝角よりもひとまわり大きい42㎝角の石材で目地もモルタルを詰めて仕上げたものではなく、合端(石と石の合わせ目)がきっちりと隙間なく積まれていることなどから推測することができます。

 こうした推測を裏ずけるような、古い石積みと新しい現代の石積みとが並んでいるところがありました。この写真の左側の白い石垣は、現代に造られた間知石積みです。石材は御影石のため白く見えるとともに、ひとつひとつの石が30㎝角と小さいことがわかると思います。

 

 見比べてみれば古い石積みが、どれほどどっしりと風格があるかは一目瞭然でしょう。

 しかしこうした風格のある石垣のある風景も、開発の波に晒されて、石垣が失われていくのかもしれません。そんなことを懸念させられる事例も起きています。この写真の場所は、八芳園の正門の向かいがわに、ついこの間まであった古い住宅の石垣ですが、建物が解体されて更地になり石垣だけが残されていました。(2016・10・14)

 いずれマンションが建つのでしょうが、桑原坂の風情を守るためにも、この石垣だけはなんとか残してもらいたいと思うのです。

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