<白金台の街と庭園ー53>

桑原坂界隈 ⑧

□江戸の道から東京の道路へ (4

 

 桑原坂から続く道路沿いの石垣を調べる過程で、江戸時代から昭和戦前期までの古地図を見ていくと、大正期の道路改修では、道路の拡幅だけではなく、部分的に道路の線形(道筋)の変更も行われていたことに気が付きました。

 

 現在の道路は、桜田通りから桑原坂に向かう途中の白金小学校付近で大きくカーブしていますが、このカーブの部分が大正期の改修時に新しくつくられた道路であったようなのです。

 

 左に江戸時代から明治時代、そして昭和初期の地図を示しましたが、江戸時代の絵図「御府

内場末往還其外沿革図書」弘化3年(1846)では、南部遠江守抱屋敷の前を通る道が直角に曲がって桑原坂に向かっています。

 

 こうした道筋は、明治時代後期になっても変わっていません。明治30年(1897)の「東京芝区全図」(東京郵便電信局)でも直角に曲がる道筋は江戸時代と同じです。

 

 しかし大正の道路改修が行われた後の、一番下の昭和9年(1934)の「東京芝区地籍図」では直角に曲がっていた道路の内側をショートカ

ットする形で曲線の広い道路ができていて、直角の曲がりの部分はそのまま残されているのがわかります。

 

 このような道筋の変更は、桂坂にも見られますが、いずれも屈折のある道路をできる限り直線や緩やかな曲線に付け替えています。これは近代の東京の道路が自動車の通行を前提にしていたためで、道路幅員の拡幅と同時に行われたものと思われます。

 

 それによってこの道路は、都心から放射状に延びる目黒通りと国道1号線(桜田通り)そして第一京浜という主要な道路を連絡する役割を果たすことになり、利便性の向上もあって先に見たような高級住宅が建ち並ぶ地域になったのかもしれません。

 

 しかし散歩人としては、近代の都市改造からとり残された江戸の道のほうにより興味を覚えるのです。

 

 

図版出典:地図はいずれも『増補港区近代沿革図集 高輪・白金・港南・台場』港区教育委員会 平成20年 

 

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