<白金台の街と庭園ー56>

シェラトン都ホテル東京の庭園 ②

 地下1階から庭園に出ると、園路は左右に延びていて、左手には池庭があり、右手は建物に沿って奥にいざなうように続いています。頭上には新緑をまとった木々が枝を差し交していて、さわやかな緑に染まるようです。

 

 まわりを見渡すと、正面に見える隣接地は10メートルほども高くなっていて、そこからなだれ落ちるような斜面と、ホテルの高い建物との間の谷底のようなところに、庭園は細長く造られているようです。そのため周囲の建物もほとんど見えず、表の目黒通りを走る車の音も聞こえない静けさのなかに、ときおり聞こえる鳥のさえずりだけが響く街なかとも思えない落ち着きがあります。

 

 

 

 園路に立ってまず目につくのは、正面の斜面に上る石段の上り口にうずくまっている狛犬です。

 狛犬は普通神社の社殿の前や参道の脇に置かれていて、祀られている神を守護する役割をもっていますので、庭園の中にこのように置かれることはあまりないのですが、この石段の上には何か社のようなものが祀られているのでしょうか。それともたんに石造美術のひとつとして、添景として置かれているのでしょうか。

 

 しかしそれはともかく、こうして石段の上り口に置かれた狛犬というのも、奥になにかがありそうな印象を与えていて、ひとつの演出としても効果的といえるのかもしれません。

 園路を左にとり、池庭のほうへ向かいます。園路沿いに朝鮮型の灯篭の据えられている先に池が見え、どこからか水音が聞こえてきます。滝の音かと思われますが、姿は見えないまま、水音に誘われるように園路を進みます。

 

 すぐに園路の先に長い一枚板の石橋がかけられているのが見え、その右手の斜面の上から大きな石を組んだ滝があらわれてきました。

 

 滝は山中の渓流を思わせる姿で、水は右に左に流れを変え、あるいは二筋に分かれるなど、変化にとんだ流れを見せています。

 

 この滝は、どうやら1階から見えた滝とは違い、宴会場から見せるために造られているようです。そうすると、この池庭には、もうひとつの滝があることになります。

 ところで、滝から流れ下った水流は、宴会場前の池に落ちるかと見えましたが、よく見ると一段低い所に水路のような水面があって、滝からの水はその水路に落ちています。

 

 同時に池からあふれ出た水も水路に落ち込んでいて、二つの滝は同じ池に落ちているように見せながらも、別々の二系統に分かれて循環させているようです。

 

 1階から見下ろした滝は、遠目ではありましたが、落差も小さく、水量も少ないようでしたので、池を波立てずに静かな鏡のような水面にするための工夫なのかもしれません。水を演出する面白さと難しさが感じられるところです。

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