<白金台の街と庭園ー60>

シェラトン都ホテル東京の庭園 ⑥

 この広場の周りには、いくつもの石灯籠が立っていて、さながら展示場のようになっていますが、広場に接して左の写真のような枯流れが造られていました。

 

 地表から70~80㎝ほど掘込まれた流れは、小振りの石を崩れ積みにした護岸で、底には砂利が敷き込まれています。流れの中には、広場に近い位置に井筒が据えられ、それによって、水は建物にむかって流れている形を見せています。

 そして建物沿いの砂利敷も、流れとなって続いていて、建物はその水辺から建ち上がっているかのようです。

 

 

 

 

 

 広場の左手にあるチャペルの脇からは、流れの途中にかけられている石橋が渡れますので、橋のたもとに来ますと、ここからは奥行きのある庭園的な景観を見ることができます。

 

 石橋の先の橋際には滝口まわりで見かけた石筍が立ち、その傍を飛石状に円形の石が打たれて奥に延びています。植込みの先には巨大な春日型の石灯籠が姿を見せていて、池庭や滝まわりを別にすれば、この庭で最も和風庭園らしい造形が施されている部分と言えるでしょう。

 ところでこの枯流れは、ひょっとすると昔の藤山邸時代の流れを再現したものではないかと想像してみますがどうでしょうか。そのように思うのはこの枯流れが、園路沿いや広場まわりに見るような、庭園的に造りこむというよりは、植物を中心に構成された自然風の景観の中から、やや唐突な感じで現れるためで、公園のような造りの広場の脇のこの場所に、突然のように庭園的な造形が現れるのには何か理由があると思われるからです。

 

  確か、傍に建っているチャペルの反対側は、隣接する八芳園の池がある辺りだと思いますが、そうす

るとこの位置には、かつては旧久原邸の池とつながっていた藤山邸の池というか流れがあったはずです。以前に書いた「八芳園庭園」(白金台の街と庭園ー38の地図参照)で見た玉名川の流路と水を利用したと思われる 藤山邸の流れを、枯流れという形で再現することによって、旧藤山邸庭園の記憶を後世に伝える意図が、この造形にあったのかもしれないと思われるのです。

 

 しかし、こうした推測はあくまで私の想像にすぎません。名園といわれた藤山邸の庭園跡に建てられたホテルであるだけに、またホテルの庭園の設計をしたのが村野さんだけに、そうした配慮があったのではないかと思ってしまうのです。そうした庭園の記憶を残すために、藤山邸時代の石造品と共に、流れの一部を再現したと考えるのは、私の勝手な思いなのかもしれませんが、さて実際はどうだったのでしょうか。

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