<白金台の街と庭園ー73>

シェラトン都ホテル東京の庭園 ⑲

 

□歴史をたどるー昭和時代 (3)

 昭和10(1935)年5月13日、米国庭園倶楽部の一行百余名は、横浜港に入港しました。上陸後は横浜の原三渓氏の邸宅を訪れ、三渓園庭園を見学します。その後東京に向かい、この日の宿舎帝国ホテルに投宿しました。

 

 翌日からは東京の庭園見学で、明治神宮と御苑、霞が関離宮(その後廃絶)、幣原氏庭園(現六義園)、根津氏庭園(現根津美術館)、藤田氏邸庭園(現椿山荘)を訪れ、見学するとともに歓迎会やガーデンパーティーが開かれます。その後の日光行きは東照宮等の観光ですが、箱根では三井家、岩崎家、藤田家の別荘の庭園を見学、さらに名古屋、京都、奈良では神社や仏閣の歴史的な古庭園と共に、各地の著名人の庭園を見学する3週間にわたる大規模な見学会でした。

 こうした日程の中で、藤山邸を会場として、日本庭園協会主催の園遊会が開かれたのは5月19日でした。前日までの東京の庭園の見学と日光の観光とを終え、翌日から箱根、名古屋を経て、京都、奈良へと向かう言わば区切りの日でした。

 

 藤山邸の庭園における園遊会の様子は、庭園協会の機関誌『庭園と風景』6月号(17巻6号)に、全日程の見学の様子を伝える記事と共に掲載されました。

 左上の写真は、藤山邸の広い芝生で行われた歓迎式典で挨拶をしている藤山氏です。接待をする日本側関係者も含めると、およそ二百人にもなろうかという園遊会は、やはりこれだけの広い庭園でなければ開けないであろうことがわかるとともに、芝生の広い空間の必要性もこうした利用を想定していることが理解できます。

 

 左下の写真は、洋館から流れ沿いの植え込み越しに会場を見下ろしていますが、背景となっている樹林の圧倒的なボリュームは、向かい合う台地の斜面を利用したとはいえ、約40年かけて造ってきた庭だけのことがある迫力です。

図版出典:『庭園と風景』(17巻6号 1935年6月号)日本庭園協会

参考文献: 同上

 

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