<消えた渋谷川と街と庭園ー2>

新宿内藤町 ②

 

□新宿御苑のまわりを歩く (2)

 新宿御苑の新宿門の前に立っていますと、平日の午後という時間にもかかわらず、多くの人が出入りしていて、外国の観光客と思われる人も多く見られます。

 

 門の中にはここから眺められるだけでも大木といえるような木々が立ち並んでいて、さすがに歴史のある庭園の風格が感じられます。

 この新宿門の左手にあるインフォメーションセンターの先から大木戸門まで、御苑に沿って新宿区が「玉川上水・内藤新宿分水散歩道」という遊歩道を造っていますので、中には入らずそちらに向かうことにします。

  この散歩道は、昔ここを流れていた玉川上水の流れを再現した水路を中心とした遊歩道ですが、再現とはいっても玉川上水の本流というわけではなく、本流から分水されていた小規模な分水流の姿を再現した流れになっています。そのため名称も「内藤新宿分水散歩道」としているのです。

 

 総延長約540mで、平成24(2012)年に完成開園していますが、実はこの下には「新宿御苑トンネル』が通っていて、流れにはトンネル内に湧出する地下水をポンプアップして流しているということです。

 園路は広くゆったりとしていて、その脇を玉石積みの護岸の、幅1メートルほどの浅い流れが続いています。

 

 この形態は、現在も福生市に残る福生分水・熊川分水の形をモデルにしているとのことですが、多摩地区に多い玉石積みの護岸になっています。

 

 園路の右手は、御苑の木々を背景にした植栽ですが、左手の道路沿いにもシイの木を中心とした常緑の木々があって、沿道の建物を隠していることもあり、落ち着いた散歩道になっています。

 流れは玉川上水分水を模しているために、直線状になっていますが、途中には一部護岸に石を使わずに土の斜面になっているところもあります。

 

 この形もやはり玉川上水に残る護岸をモデルとしているようですが、武蔵野に自生する野草類が植栽されていて、季節ごとに花を楽しめる自然な感じの流れになっています。

 このような小河川や水路、掘割などは、戦後の戦災復興時のがれきの処理のための埋め立てや、高度経済成長期から前回の東京オリンピックの頃にかけての道路、さらに首都高速道路の建設に伴い、その多くが埋められ暗渠の下水となってしまいましたが、こうして一部とはいえ再現されたことは、流れる水の魅力と、玉川上水のように歴史の一端を偲ばせてくれる存在でもあることを改めて再認識させてくれるようです。

 

 小河川や水路を再現することは、思い返してみると昭和48(1973)年に開園した江戸川区の古川親水公園が初めてであったように思います。水質汚染がひどく死滅した川といわれていた、江戸の運河の一つであった古川(船堀川)を、親水公園として再生させたことは、当時新聞などでも報道されて話題となり、私も見学に行ったことを思い出しました。

 

 その成功を契機に、各地で親水公園と呼ばれる流れや水辺の再生が行われましたが、成功しなかった事例もまた多かったようです。完成後の管理やメンテナンス、予算不足など行政の熱意や予算措置、そして地元住民の愛着と清掃や植栽の手入れなどのボランティア等の協力なくしては、維持することは難しかったのでしょう。

 

 それだけに、この玉川上水・内藤新宿分水が永くいい状態で流れを維持管理されることを願います。

図版出典:「玉川上水・内藤新宿分水散歩道」新宿区みどり土木部みどり公園課資料

参考資料:同上資料

 

<<消えた渋谷川と街と庭園ー1 新宿内藤町 ①

<<消えた渋谷川と街と庭園ー3 新宿内藤町 ③

営業時間

平日10:00~18:00 

定休日

土・日曜日、祝祭日

お問い合わせ

〒350-0056

埼玉県川越市松江町1-16-1

藤和川越コープ901

TEL: 049-227-3234

FAX: 049-227-3235

お問い合わせはこちらから