<消えた渋谷川と街と庭園-16>

新宿御苑 ①

 

 住宅地としての内藤町を離れて、もう一つの内藤町である新宿御苑に向かいます。

 新宿御苑は、淀橋台地上に広がるほぼ平坦な地形で、周囲3.5㎞、敷地面積は58.3㏊(約18万坪)という広大な公園です。かつては宮廷庭園であったという歴史を持っていますが、戦後には一般に広く公開されて、現在は環境省が所管する国民公園となっています。

 

 苑内は平坦とはいえ敷地を東西に横切るように浅い谷が走り、上の池・中の池・下の池と三つの池が連なっていて、池を中心に日本庭園とイギリス風景式庭園が造られています。この連続する池は、元々御苑の西側にある天龍寺境内に湧きだしていた湧水を水源とする、渋谷川の最上流部の流路を生かして造られたものといわれています。地形的には平坦なだけに単調になりがちな庭園景観に、この浅い谷がつくるわずかな高低差と連続する水面が変化をもたらしているようです。

 

 広大な苑内には、上記の庭園の他に苑内東端にある正門から続くフランス式整形庭園があり、また樹林で隔てられた北側には、江戸時代の内藤家中屋敷時代に作庭された「玉川園」の面影をとどめた日本庭園「玉藻池」が残されていて、江戸の大名庭園の跡ということをわずかにしのばせてくれます。

 

 このような様式の異なるそれぞれの庭園は、あるところでは広い芝生でゆるやかにつながり、またある部分では樹林によって明確に隔てられていて、それらが全体として一つにまとめられた近代の総合式庭園になっています。こうした空間構成は、和風庭園と洋風庭園とを併設する近代の大規模な住宅庭園にも応用され、前項で紹介した旧藤山雷太邸庭園や、現存している旧古河庭園においても使われている手法で、日本の近代庭園の一つの特徴といえるのかもしれません。

 

 また新宿御苑は、植物御苑と呼ばれていた時期もあって、海外から新しい植物を導入して栽培し、日本の気候風土への適性や栽培法を研究していた歴史もあり、プラタナスやユリノキ、ヒマヤラスギ、ラクウショウなどの巨木・古木も多く見ることができます。こうした木々は、一般の公園や街路樹の剪定された樹形と異なり、思う存分に枝を広げ、それぞれが持つ本来の雄大な樹形を見ることができます。

 

 さらに、春の桜、秋の菊はもとより有名ですが、それ以外にも四季それぞれにさまざまな花が咲き継ぎますので、一年を通して楽しむことのできる公園でもあります。

 

 

図版出典:新宿御苑ホームページより

 

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