<消えた渋谷川と街と庭園ー17〉

新宿御苑 ②

□ 玉藻池 (1)

 御苑には、以前内藤町の住宅地に向かうために、その前を素通りした大木戸門から入ります。門を通るとすぐに視線の先にコンクリート造の大木戸休憩所がありますので、最初にその反対側にある玉藻池に行くことにします。

 

 休憩所の南面には日本庭園が広がっていて、休憩所を境にがらりと景色が変わりますが、それはまるで舞台で幕をいっきに落として、一瞬にして場面を転換するかのような切り替え方です。この休憩所は床が高く、そのため視点も高くなることから、庭園の全景が望まれる観賞ポイントになっているようです。正面には芝生の庭があり、左手にはやや離れて濃い樹林を背景に池の水面が見えています。これが玉藻池です。

 

 玉藻池にはもともと玉川上水から直接水を引いていましたが、後には余水吐(渋谷川)の流れから水を引いて水車を回し、その水はそのまま玉藻池に流れ込んでいました。また池の余水は、池から流れ出して池尻橋の所で再び余水吐に合流していました。そうしたことから玉藻池は、渋谷川水系にかかわる庭園の中では最も上流にある庭園となっているのです。

 

 

 この玉藻池は、御苑の中では唯一江戸時代に起源をもつ池ですが、写真の手前の芝庭は、明治末期の御苑の大改修工事によって造られた和洋折衷式の近代和風庭園の様式になっています。芝庭は芝生の中にゆるやかな曲線を描く砂利敷きの園路と、ところどころに植えられた丸い刈込の低木というシンプルなデザインで、この造り方は明治神宮旧御苑の隔雲亭前の芝庭とよく似ていますが、これらは共に明治期の和洋折衷式庭園の特徴とされています。

 

 しかし神宮の隔雲亭前の庭では、南に傾斜した芝庭の先に、池の水面が望まれますが、この庭では、庭園全体を眺めることのできる休憩所から見ますと、玉藻池が左(東)に寄りすぎているように思われるのです。このような池を中心とした庭では、建物近くの近景に芝庭があるのは当然としても、正面の芝庭の先に水面を見せるのが普通と思えるのですが、そうした形をとらずに、あえて正面を避けて池の位置を東にずらしたかのような配置としていることには,どのような意図があったのでしょうか。休憩所を設けるときの配置計画の際には、そうした検討もされたうえで現在の形に決まったのでしょうから、それなりの理由があったものと思われますが、気になるところです。

 

 そのあたりの計画の意図は不明ですが、休憩所から写した上の写真も、南の正面には景観ポイントが見当たらないために、つい芝生の先に池の見える東側を撮ってしまうことになりました。

 

 

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