<消えた渋谷川と街と庭園ー18>

新宿御苑 ③

 

□ 玉藻池 (2)

 玉藻池に近寄ってみますと、それほど広がりのある水面ではありませんが、中島のあたりから三方へ水面を引き延ばしたような形に入り組んでいて、中島の存在と相まって一目で全体を見渡せないようになっています。そのため池には奥行きが出て、実際の水面以上の広さを感じるようです。

 池の周囲は、手前の西岸は明るく開けた芝庭になっていますが、それ以外の北岸、東岸、南岸ともに池の水際近くまで常緑樹の濃密な樹林が迫り、庭園的というよりも、自然の樹林のような、あるいは庭園が自然に帰りつつあるような閉ざされた緑の壁を作っていて、西岸とは対照的な姿を見せています。

 

 このような空間の造り方を見ますと、玉藻池は本来西岸から眺めるように造られていたのではないかと思われるのです。

 

 そうした中で、中島は州浜を設け、雪見灯篭を据え、さらに風趣を添えるようにクロマツが植栽されるなど伝統的な形をとっていて、定型的ではありますが庭内では最も庭園的な造りを見せる、この庭の景観ポイントになっています。

  中島には、芝庭の園路に続く広くゆったりとした板橋がかけられていて、見る人を島に誘っているようです。そして中島からはさらに橋を渡り、南岸や東岸の樹林の中を通って、池を巡る回遊路が設けられているように思われます。また、西岸からはもう一本の橋が、こちらは狭い入り江のような水面を渡って、北岸の園路につながるようにかけられています。現在では橋の傷みが激しいために通行が禁止されていますが、おそらく池周りを回遊する園路が、この橋につながっているのではないかと思われます。

 その北岸には、気になるものが見えています。中島の雪見灯篭と向かい合う位置に、春日型と思われる燈籠が立ち、岸辺の護岸にも多くは黒ボク石が使われている中で、比較的大きい川石があり、そこから奥に向かって枯流れを思わせる姿が見られるのです。ここも、ある意味で庭園的な造りになっていて、興味を惹かれるところです。

 

 これはひょっとすると、玉川上水余水吐(渋谷川)から取り入れた水の、池に流入していた跡とも思われますが、北岸に渡る橋が通行できないために、その様子も近くで見ることができず、ここからでは

残念ですが推測するしかありません。

 

 

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