<消えた渋谷川と街と庭園ー21>

 

新宿御苑 ⑥

 

□玉藻池 (5)

 木々の間に時おり見える水面を見ながら、池の東岸の園路を歩いていくと、やや開けた植栽地に入る細い小道がありました。どうやら池の北岸を巡る道のようです。小道をたどるとすぐに池のほとりに出て、池に沿って続いています。ここからは、自然そのままのような樹林におおわれた南岸と、州浜のある中島、そして橋から続く西岸の芝庭が眺められますが、改めてその極端とも見える景観の相違に、不思議な思いがします。

 

 

 池沿いの小道をたどると、やがて小さな石橋のかかった小流れが現れました。自然石の橋石には定石通り橋挟みの石が添えられていて、この辺りは庭園的な造りになっているようです。

 流れの元をうかがうと、水は暗渠の奥から流れ出しているように見えましたが、近寄ってみますと、水は暗渠の出口のあたりから湧きだしていて、そこから流れがはじまっていました。

 

 この暗渠は、苑内を周回する園路の下を通っているのではないかと思われますが、それはかつて余水吐と言われていた渋谷川から分水されていた水路が、埋設された暗渠ではないかと思われます。

 

 しかし現在では、そこから流入する水はなく、池の水を循環しているのか、あるいは井戸水などを利用しているのかわかりませんが、池への補給水として、昔の流れを利用しているのではないかと思われます。

 石橋をくぐった流れは、いくつかの屈曲を見せながら小滝を経て池へ流れ込んでいます。流れ沿いには二三の立石も見え、小滝から池へ流れ込むあたりにはやや大きめの石が散見されます。これらが対岸からは、水量もさほど多くなく、また木々の陰になっているために枯流れと見えたのかもしれません。

 

 再び石橋のあたりに戻りますと、小道の先は西岸に向かってかけられた板橋のたもとに続いていますが、前にも記したように橋は老朽化して通行できなくなっているため、ここからは元の園路に出るしかありません。そしてその先は休憩所に戻ることになります。

 

 こうして玉藻池の周りを歩いてみますと、江戸の頃はわかりませんが、現在の庭園は必ずしも池を巡って回遊する目的で造られてはいないように思われます。もちろん回遊路は設けられていて、一回りできるのですが、それよりは、西岸の芝庭の散策や利用、そしてそこからの水景を見て楽しむことに主眼が置かれているように思われるのです。

 

 しかし、池を巡ることによって、玉川上水の余水を利用した池に、水が流入していた流れの跡や、流れ出る排水溝を確認することができたのは、渋谷川とのかかわりを知る上では何よりでした。また、そうした水の利用が行われていたころの玉藻池は、現在と比べて池の水もはるかに澄んでいたであろうことも想像されました。

 

 

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