<消えた渋谷川と街と庭園ー24>

 

新宿御苑 ⑨

 

□フランス式整形庭園 (3)

 整形式庭園は、左右対称の幾何学的造形が特徴とされますが、その形態の骨格は生垣によって形作られる、といっても過言ではないでしょう。生垣は、平面的には線として幾何学な地模様を描き出しますが、それと同時に庭園の内と外、園路と花壇そして芝生という性格の異なる空間を区画し、分割する役割をも果たします。

 立体的なアイレベル(人の視線の高さ)での生垣の役割といえば、ある場所では庭園内から庭園外の景色や余計なものを見せないように視線をさえぎり、またある部分では見せたいものへ視線を誘導するように方向付けを行い、そして時には生垣の隙間から向こう側を垣間見せて、奥行きを感じさせ、生垣の向こう側への興味をかきたてるなど、人の視線と意識をコントロールするさまざまな機能を果たしています。

 

 生垣がこうした多様な機能、役割を持つことから、整形式庭園は生垣によって骨格が造られ、空間構成された庭園ということができるのでしょう。これに対して、花壇に植えられるバラや草花、あるいは花木や紅葉は、幾何学的な平面構成を色彩によって強調し、あるいは季節ごとに彩る装飾的な役割ということになります。

 

 この庭園では、そうした生垣は中央の花壇を取り巻く高い円形の刈込垣が、周囲への目隠しと視線の誘導に使われていますが、その生垣はまたバラ園の背景ともなっています。また花壇の縁取りや芝生を縁取る低い生垣は、幾何学模様を作り、同時に園路とバラの植栽地そして芝生を区画する役割を果たしていて、改めて見直すと多くの生垣が使われていることに気がつきます。

 

 生垣は一般的には、上端を水平に、側面を垂直に壁のような形に刈り込んで仕立てることが多いのですが、この庭では最も長く丈の高い生垣は、円形の刈込垣になっています。形状は上部は丸く、高さもまちまちで、側面も曲面となっていて、全体に半球状のもこもこした緑の塊の連なりで、生垣として認識しにくいかも知れませんが、これも生垣の一種なのです。

 

 こうした形状の生垣は、直線にカッチリと刈り込まれた生垣と比べると、やわらかな印象をうけますが、それと共に一種類ではなく多くの樹種を使って、季節ごとの変化を楽しむことのできる生垣でもあります。混ぜ垣と言われますが、生垣の一部を見ただけでも針葉樹ではチャボヒバ・キャラ・イトヒバがあり、常緑広葉樹ではツツジ類・サツキ・カナメモチ・アセビ・ウバメガシ・グミ・ヤツデ・ネズミモチ・アオキ・チャ・マサキ・シロダモ・ヒイラギなど、また落葉樹ではヤマモミジ・ドウダンツツジ・アジサイ・ウツギ・ボケというように多くの樹種が使われています。

 

 これらの植物は、まじかに見ればそれぞれが葉の大小・形・色の濃淡の違いを見せ、また花の咲くもの、紅葉・落葉する樹種などが季節によって変化を示すのですから、生垣といえども単調なだけではない季節の彩を見せる存在でもあるのです。

 

 

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