<消えた渋谷川と街と庭園―26>

新宿御苑 ⑪

 

□ フランス式整形庭園 (5)

 整形式庭園の西の端、ゆるやかな斜面を上りきった所が、砂利敷きの広い空地になっています。どうやらこの場所が、幻の宮殿の建つ予定地だったように思われます。その空地に立って整形式庭園の全景を、写真に収めようと思いましたが、左右のプラタナスの並木は入りますが、肝心の真ん中のバラ園は手前のあたりしか見えず、アイレベルからの視線ではとうてい全景は捉えられませんでした。

 もともと整形式庭園は、庭園全体の幾何学的な構成美を眺めることのできる視点が不可欠で、ヨーロッパの庭園ではそれが宮殿や広壮な屋敷のバルコニーになっていることが多いのですが、この庭園にはそうした視点場が欠けているために、庭園の全景を一望する場所は残念ながらありません。

 

 しかし、思いがけない場所から、全景というわけにはいきませんが、中央部のバラ園のあたりを、まるでバルコニーの高さのような視点で眺められる場所があるのです。それは御苑の外の正門前の、外苑西通りにかかる歩道橋の上から見る景色で、幻の宮殿の位置とは反対の対極にあるわけですが、正門とそこから延びるまっすぐなアプローチとその両側の刈り込み垣、バラ園を縁取る生垣、そしてシュロの寄せ植え、さらには奥のイギリス自然風景式庭園にそびえる木々までが望めるのです。

 上の二枚の写真は、その歩道橋から撮ったもので、左の写真は通常のレンズで、右の写真はズームで写した写真です。正門の前に左右に植えられたクスノキとモッコクが、大木となり庭園の左右はかなり隠れてはいますが、それでも一部とはいえ、バルコニーから眺めるような整形式庭園の景観の一端を感じさせてくれる景色ではないでしょうか。

 

 

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