<消えた渋谷川と街と庭園―33

新宿御苑 ⑱

 

□水路(流れ)・日本庭園 (1)

 

 上の池の橋を北岸に渡り、池沿いの園路をたどって再び東岸にまわると、池から流れ出る水路があり、そこに木橋がかかっている景色が目に留まりました。橋のたもとにはヤナギが植えられていて、ちょっと風情のある小景です。

 

 水と橋と柳とは三題噺のようですが、これに美人を配して構成すれば、浮世絵などにもみられる昔からの典型的な水辺景観になりそうです。

さっそくそちらへ行ってみます。

 水路沿いをたどりますと、途中に堰が設けられているのに気がつきました。堰板の間からは水がしたたり落ちていますが、上の池の水位はこの堰で調整しているようです。堰板のわずかな隙間から水が流れ出しているのも、計算された水量なのかもしれません。そしてここから流れとなりますが、流れといっても水は流れるともなく静かに動いていて、おもしろ味みに欠け、また特に流れを庭園的に演出するような場面も見られず、護岸の玉石積みと相まって、水堀あるいは水路という感じになっています。

 水路はそれでも、ときに狭まってそこに橋がかけられ、またときには広がって池となって変化を見せて続いています。そして園路も二筋になり、また三筋になって流れにたわむれるように続いていて、このあたりの水路と園路の造りかたは庭園的に、なかなか工夫がこらされているように思われます。

 

 またこのあたりは、北側と南側とが共に常緑樹に落葉樹が混じった樹林に囲まれていて、広がりのある上の池まわりと比べると、視界が狭められ、絞りこまれたような空間になっています。つまり次の広い池のある庭園に場面を転換するためのつなぎの空間になるのでしょう。それでもこの水路に沿って東西方向に細長く延びている空間には、多くのモミジが植えられていて、春の新芽時や秋の紅葉の時期には、カメラを構えた人たちで混雑する庭園になっています。

 

 

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